現在日本で増えているがんの1つが膵臓がんです。わたしの勤務する病院でも、入院患者さんに占める割合があきらかに増加しています。膵臓は胃の背中側にある横に長い20cmほどの臓器です。働きは食べ物の消化を助ける膵液を十二指腸に分泌すること(=外分泌機能)と、インスリンなどのホルモンを血液中に分泌して血糖値をコントロールすること(=内分泌機能)です。おなかの右側があたまで膵頭部、左側がしっぽで膵尾部、その間が膵体部とよばれます。膵液は膵臓の隅々から膵管という細い管を通って、尾部から体部,頭部へと流れて十二指腸乳頭から腸の中に放出されます。
膵臓がんの症状としては、腹痛・腰痛・背部痛,体重減少、糖尿病の発症や悪化、膵頭部がんの場合は黄疸や肝機能障害でみつかることもあります。しかし早期発見につながる自覚症状はほとんどなく、進行するにつれて周囲の臓器にがんが影響することで痛みや黄疸が出現してきます。
膵臓がんの原因につながるリスクとしては、喫煙、糖尿病、慢性膵炎などの膵疾患、遺伝が存在します。膵臓がんの家族歴がある方や糖尿病に罹っている人は、主治医の先生にも膵臓がんの検査を意識してもらう必要があります。
膵臓がんをほかのがんと比べて、早期発見が難しく、早期に治療ができない、進行も早く、そのため5年後の生存率が低い、という問題点があります。
肺がんであればレントゲンやCT、大腸がんであれば便潜血検査、胃がんであれば内視鏡検査といったように、様々ながんには早期発見を目的とした検診があります。では「膵臓がん検診」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?)ほとんどの方は聞いたことがないと思います。