患者さんに問診する際には、とくに高齢者では現役時代の仕事や、両親のことを支障のない範囲で話題にすると、次々と話してくださる患者さんが多いです。現在は外来が中心ですが、短時間でも対話ができると、「こんなに医師と話したのは初めて」と言われることもあります。
ウイリアム・オスラー先生(1849年~1919年)は「医学生を病棟に連れて行った人」と自分の墓碑銘に書いてほしいと生前に希望され、それまでの講義一辺倒から、実際の患者さんから学ぶ実践的な医学教育に変わっていきました。
日野原重明先生(1911年~2017年)はオスラー先生を師として患者さんとの会話を重視し、100歳を越えても診療に従事されました。私は2011年に聖路加国際病院で開催された日野原先生の100歳の誕生会の際に、ツーショット写真を撮って頂く光栄に浴しました。
何でも話をしやすい雰囲気を作り、医療者が傾聴しようという姿勢が重要と感じています。忙しいときにはなかなか理想通りにはいきませんが、これからもオスラー先生・日野原先生の姿勢を忘れず患者さんと対話していきたいと念じています。
患者さんとの対話
対話 医師
Motoo Yoshiharu
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金沢医科大学 名誉教授 元雄良治
Motoo Yoshiharu
金沢医科大学 名誉教授 元雄良治
金沢医科大学 名誉教授 元雄良治
1980年東京医科歯科大学医学部卒業。1984年米国テキサス州ダラス・ワドレー分子医学研究所に2年間留学。金沢大学がん研究所腫瘍内科講師、准教授を経て、2005年金沢医科大学腫瘍内科学主任教授・集学的がん治療センター長に就任。最先端のがん治療においてチームリーダーとして活躍した。2021年金沢医科大学名誉教授、小松ソフィア病院腫瘍内科部長に就任。訪問診療にも従事し、患者・家族との対話を重視した「全人的がん医療」をめざして、地域での啓発活動にも尽力している。著書「全人的がん医療」、「まるごとわかる!がん」、「漢方でできるがんサポーティブケア」。
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がん治療の第一線で活躍される医療機関・医師のみなさまや教育現場の方、
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