①胸部CTで異常の場所と性状を評価します。
胸部異常陰影を指摘された場合でも、肺がんではない(肺がんではない異常がみつかったり異常が見られなかったりする)場合のほうが割合として多いです。胸部レントゲン検査で異常を指摘された場合、精密検査として胸部CTを行います。CT検査は、大きなトンネルのような機械に入って撮影します。X線管(X線を出す装置)がCT装置内を回転し、その反対側にある検出器に体を通過したX線が入りデータをとります。得られたデータをコンピューター上でつなぎ合わせて空間的な情報処理をして、体の輪切り画像を作成します。これにより、異常の場所を特定でき、その異常の性状(画像上の特徴)を評価することができます。通常、CT検査の結果は、放射線読影医(ほうしゃせんどくえいい)の意見も加えて担当医が総合的に判断します。放射線読影医は医療画像の評価を行うエキスパートです。放射線読影医の評価が当日すぐに行えない施設もあります。
胸部CT検査では、まず「本当に異常があるのか」を確認します。肺がん以外に胸部異常陰影となる原因は多数あります。まずは肺炎や気管支炎、肺結核、良性腫瘍など、肺がん以外の肺の病気があります。次に、以前の病気の跡が残っている場合があります。昔の結核の跡などは、生涯残る場合もあります。最後に、全く異常は見当たらない、と判断される場合もあります。肺の中の血管や肋骨の重なりが胸部レントゲン検査では異常な影に見える場合もありますし、まったく原因がわからない(正常のみ)場合もあります。健康診断や肺がん検診では、疑わしいものは拾い上げる、という考えがあります。前回、肺がん検診では1万人中200人で「異常あり」と判定され、そのうち精密検査を受けたのは157人で、最終的には5人に肺がんが見つかった、というデータを載せましたが、精密検査の結果、肺がんではない場合のほうが多いのです。