肺がんを否定できない場合の対応として、前回は胸部CTで経過を見ていく場合について説明しました。
胸部CTで以下のように判断されることは前回も述べました。
1. 肺がんが疑われる場合
2. 肺がんであることを否定できない場合
3. 別の肺の病気が疑われる場合
4. 全く問題がない場合、異常が見られない場合
今回から3回に分けて、1.の肺がんが疑われる場合で、診断を確定するための検査について説明します。
胸部CTなどの画像検査では、肺がんであることを診断することはできません。肺がんの可能性が高い、というところまではわかります。
呼吸器専門医は以下のような場合に肺がんを疑います。
- 新たに出現した結節(肺の中に見られる塊)や経過で徐々に大きくなる場合
- 塊の辺縁がスムーズではなく、でこぼこしている。
- 周りの血管や小さな気管支、胸膜(肺の外側にある肺全体を包む膜)を巻き込んでいる。
- 内部の濃度が不均一
- 複数ある
- 肺がんを疑う別の異常がある場合。
・肺門・縦隔などのリンパ節(肺門とは気管支が肺に入る根元のところです。縦隔とは右肺と左肺の間のことです。)
・胸膜の異常(胸膜播種、胸水)(播種とは複数の小さな散らばり、胸水とは肺の外側に貯まる液体です)
・他に転移を疑う場合。骨の変化や肝臓の異常(転移とはがんが離れた臓器に広がることです。胸部CTでは肺に接する肝臓も撮影されます)
生検にて病理診断を行う②に続く