私が全身麻酔下で受けた手術内容は、手術記録に記載されています(図)。大腸癌取り扱い規約に従って、下行結腸病変部の上下に約10㎝の安全域を設定して腸管を切断し、リンパ節を含む支配血管領域の組織と共に一塊として郭清切除されました。その後、上下腸管の断端は縫合閉鎖し、そのやや上方と下方の腸管側壁同士の新創面を用いての側・側吻合により上下の腸管はつながれました。深夜の手術に拘わらず、誠心誠意、精神を集中して手術していただいたことに感謝あるのみでした。
一方、翌朝から私に課せられたのは、「早期離床」で、ベッドからわずか3メートルほどの個室内トイレに行くのに術創の痛みを堪えての難行だったのです。当時始まった腹腔鏡下手術では、術翌日の患者の歩行時痛は殆どなく、この手術が一気に優勢となっていく契機となったようです。