胃の検診は内視鏡が主流になってきており、受けたことがある人も多いですよね。ときどき受診されるかたで、「食道もみてもらえますか?」とたずねられることがあります。口から入れた内視鏡は咽頭をくぐって食道に入ります。食道の終点が胃の入り口ですから、必ず食道は観察・検査しています。最近、日本では非常に早期の段階で食道がんがみつかって、内視鏡治療で根治する患者さんの割合が増えています。また外科手術やその他の治療成績も向上しています。なぜでしょうか?今回は食道がんについてとりあげていきます。
食道がんの原因ってなんでしょう?一般的にがんの原因といえば、お酒とたばこが原因に挙げられますが、食道がんはいずれも原因となります。とくにお酒・アルコールとの関連がつよくあります。お酒は“アルコール脱水素酵素“によりアセトアルデヒドに分解され、さらに”アルデヒド脱水素酵素“により酢酸に分解されます。ちょっと難しい化学のお話になりましたが、この「アセトアルデヒド」が食道がんの発がんに関与しています。実は日本人の約半分はアルデヒド脱水素酵素の働きが弱く、食道がんだけではなく咽頭がん・舌がんなどのリスクが高くなってしまいます。
お酒を飲んで顔が赤くなる人、かつて赤くなっていた人はアルデヒド脱水酵素の働きが弱いため、注意が必要なのです。