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胃がんとピロリ菌

胃がんとピロリ菌

胃がんとピロリ菌

胃がん ピロリ菌 胃がん検診

Takatori Hajime

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金沢大学附属病院 光学医療診療部 部長・准教授 鷹取元

はじめまして。コラムを担当する鷹取です。
消化器内科、とくに内視鏡診断や治療を専門にしています。消化器は胃、大腸、肝臓、膵臓、胆道、食道といった臓器を扱いますが、日本人のがん患者さんの半数がこの領域に集中しています。そのなかで「胃がん」は日本人に多いがんの一つですが、近年日本では胃がんにかかる患者さんも、亡くなる患者さんも減少傾向になってきています。なぜでしょうか?コラムで解説していきます。

まず胃がんの原因ってなんでしょうか?・・・じつはほとんどの胃がんの原因は「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染です。
ピロリ菌という名前は皆さんご存知だと思います。胃の中は胃酸の影響でpHが低く、生物にとって厳しい環境ですが、ピロリ菌はそんな胃の中に住み着く特殊な菌です。先進国の中では日本のピロリ菌感染率は高く、胃がんの患者さんが多い原因と考えられます。幼少5歳ぐらいまでにピロリ菌に感染すると、菌が胃に定着しやがて「萎縮性胃炎」や「慢性胃炎」といわれる状態になり、胃潰瘍や胃がんの発生母地になっていきます。そしてやっかいなことにほとんど無症状で経過します。ピロリ菌はオーストラリア人のウォーレンとマーシャルが1983年に発見し。胃炎、胃潰瘍、そして胃がんの原因になることがわかったのです。ふたりは2005年にノーベル賞を受賞しました。人類にとって非常に価値のある発見だったのです。

Takatori Hajime

金沢大学附属病院 光学医療診療部 部長・准教授 鷹取元

金沢大学附属病院 光学医療診療部 部長・准教授 鷹取元

金沢大学附属病院 消化器内科に所属/公立松任石川中央病院,ソフィア内科クリニックでも診察しています。/消化器内科医24年目を迎えます。専門は内視鏡診断と治療。/モットーはわかりやすい説明と丁寧な内視鏡。/趣味は鉄道と温泉,お酒を美味しくいただくことです。