検査の結果を聞きに行く時、私は夫とうまれて１ヶ月たたない末娘と3人で車で向かいました。
この検査の結果を聞くまで、本当に頭が乳がんのことばかりで。
末娘の可愛さを見逃したくないとめいいっぱい末娘を見つめるけれど、やっぱり頭の中はガンのことでいっぱい。
もし本当にがんだったら？
ガンじゃなかったらとびっきりの笑顔で娘をだきしめよう。
がんだったらどの程度の進み具合なのかな。
しこりがかなり大きいからかなりすすんでるかもしれないな。
でも本当に乳腺炎のひどいやつかも。
大丈夫、大丈夫、大丈夫。
わたしは大丈夫だ。
病院につくなりコロナ禍だったため、末娘のために個室に案内してくれた。
気兼ねなく抱っこできたけれど、部屋の中は乳がんのポスターやパンフレットでいっぱい。
ここは相談室だったらしい。
告知されたあとに詳しく看護師さんからお話を聞いたり乳がん経験のあるボランティアさんがゆっくり話を聞ける場所なんだって。
そして、名前が呼ばれ、私達に画像を見せながら、
｢ごめんね、癌ってこの紙に書いてあるんだけど、検査の結果やはりそうでした。ここからは、どれだけ癌が進行しているのかどんなガンのタイプなのか調べていくからね、お母さん、気を持って。1番に検査どんどんいれてあげるし僕が手術もするから。｣
どうやらわたしを診てくれていた主治医は日本でも有名な乳がんの名医だそうで、これから手術するこのクリニックも北海道で1番と言われている乳腺クリニックだったらしい。
車で30分はかかるけど、近い方だ。
でも病院の存在は知らなかった。
この病院をもっと前から知っていたらなにか変わっていたかな。
さっき待っていた相談室に看護師さんがまた案内してくれた。
私の目からは気づかないうちに涙が出ていたようで、看護師さんがティッシュを渡してくれて泣いていたことに初めて気がついた。
看護師さんは乳癌がどんな病気なのか、これからの入院のこと、費用のこと、たくさん話してくれた。
でも頭が追いつかない。
理解しているふりをして全然理解できない。
ねえ、なんでわたしが癌なの。
私、なにか悪いことしたかな。
一生懸命生きてきたつもりなのにな。
親は働き盛りだったからあまり構ってはくれなくて、自分のことは自分でやってきた。
中学からお弁当もひとりで作っていた。
高校生もそうだけど。
お金がうちにはあまりないから大好きだった部活も高校生にはやめてバイトをした。
本当はテニスを続けたかったけど妹があと2人もいたからお金がこれ以上かからないように我慢した。
高校卒業してからはバスガイドの寮に入って、先輩や同期と一緒に暮らしながらいっぱいいっぱい働いて遊んだ。
今の夫と出会い、結婚しようと、指輪とともに、プロポーズしてもらった。
長女、長男が無事に産まれ、マイホームを購入して、末娘を妊娠して本当に幸せいっぱいだった。
もしかしてわたし、幸せになりすぎた？
幸せになりすぎたから、神様は少しいじわるしたのかな？
そんなことを車の中で考えた。
涙は止まらなかった。
末娘をぎゅっと抱きしめながら帰った。
夫も隠れて泣いていた。
家に帰ると、心配そうに姉妹と母が来てくれた。
私は笑いながらやっぱりがんだった。って言った。
それからみんなが励ましてくれるからまた泣けてきたけど、みんなのおかげでなんだか大丈夫って気がしてきた。
これからどんなみちのりになるかな。
きっと私が思う何倍もでこぼこ道なんだろう。
でもわたしには大好きな子供たちがいる。
この子達の成長をしっかり見届けなければいけないの。
負けてらんないよ。
私が癌っていう、事実はその日のうちの飲みこめた。
あとは前を向いてたたかうだけだ。
ここからいわゆる癌の標準治療が始まります。
もう後ろを振り向いても意味がない。
わたしは闘病のスタートラインに立ちました。
⇒でこぼこみちのはじまり③に続く。