最初に触れたように、日本では早期の食道がんの発見が最近増えています。これはなぜでしょう?お酒を飲む量が増えたから?内視鏡をする医師のレベルが上がったから?正解は“内視鏡が進歩したから”、です。
2006年頃からオリンパス社NBIやフジフィルム社LCI・BLIという特殊な光で腫瘍をみつけやすくする機能が実用化されました。これは患者さんの口から入っていく黒い内視鏡スコープではなくて、内視鏡が接続されている白いビデオデッキのような本体の方に搭載されている機能です。青色〜緑色の特殊な光が、食道がんをみつけやすくしてくれます。その実力はベテランの内視鏡医が普通のモードで観察してもとてもかなわないほど高性能です。現在国内で稼働しているほとんどの内視鏡にこの機能が搭載されてきており、かかりつけのクリニックや病院の内視鏡にこの機能があれば、食道がんがみつかりやすくなります。もし食道に茶色〜黒色に見える病変「ブラウニッシュエリア」が見つかると、さらに精密検査をおこなって、がんもしくはがんになる前の前癌病変か、炎症による良性の病変かを判別します。この時に用いるのが「拡大機能つき内視鏡」です。NBIなどの特殊光モードで50倍ぐらいにブラウニッシュエリアの表面をズームアップすると、血管などのパターンから診断することができます。こちらは黒い内視鏡スコープに搭載されている機能ですが、太さが普通の内視鏡より1.5mm程度太くなる適度です。金沢大学病院ではほとんどすべての検査を拡大観察機能がついた内視鏡でおこなっています。こうすることによって、一度の検査で診断に迫ることができます。
新時代の内視鏡
胃がん 食道がん 内視鏡 医師
Takatori Hajime
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金沢大学附属病院 光学医療診療部 部長・准教授 鷹取元
Takatori Hajime
金沢大学附属病院 光学医療診療部 部長・准教授 鷹取元
金沢大学附属病院 光学医療診療部 部長・准教授 鷹取元
金沢大学附属病院 消化器内科に所属/公立松任石川中央病院,ソフィア内科クリニックでも診察しています。/消化器内科医24年目を迎えます。専門は内視鏡診断と治療。/モットーはわかりやすい説明と丁寧な内視鏡。/趣味は鉄道と温泉,お酒を美味しくいただくことです。
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