検診などで胃がんと診断されれば、治療をおこなう医療機関に紹介されます。
胃がんの治療法は大きく3つに分けられます。がんが胃の中の浅い部分に限局し、転移している可能性がない早期の段階であれば、内視鏡治療の適応となります。日本で2000年頃から開発された内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という治療法を用います。病変の下の層に専用の液体を注入して厚みを持たせながら、専用の電気メスや鉗子で病変を切除・止血します。わたしも当時メッカであった築地の国立がんセンターに1週間通って勉強しました。病変の大きさにもよりますが1-2時間で治療を終え、順調であれば5-6日後に退院できます。痛みは伴わず胃も残りますから、生活に変化はありません。
もうすこしがんが進んだ段階でみつかった場合は、外科手術で胃と周囲のリンパ節を切除します。近年は腹腔鏡手術の安全性が向上し、術後の早期回復につながります。がんの段階によっては薬による化学療法をおこないます。この分野では、ノーベル賞を受賞された本庶佑先生の研究をもとに開発されたニボルマブなどを活用した新しい治療が有効性を示しています。
もし胃がんと診断されても、身近に胃がんの診療経験が豊富な医師が多くいますから、不安にならず、希望をもって専門施設を受診して下さい。